世界遺産の要塞島スオメンリンナ~2019年夏北欧の旅その18~
この記事は2019年夏の北欧旅行記になっています。旅の概要やこのシリーズの初めに関する記事はその1の記事からお読みください。
前回の記事はこちら。
○はじめに
いよいよ北欧の旅も最終日となるヘルシンキ3日目です。昨日はマリメッコ・イッタラ・アラビアをめぐる北欧デザインツアーを勝手に開催しましたが、とても充実した時間になりました。
最終日のこの日は、ヘルシンキの教会を少し見に行った後、世界遺産の要塞島スオメンリンナに行きます。日本への帰路ではちょっとしたハプニングもありましたので、最後までお読みいただけると嬉しいです。それではどうぞ!
○タイムテーブル
- ○8:00 大満足の朝ごはん
- ○9:45 静寂の教会カンピ礼拝堂
- ○10:00 岩の教会、テンペリアウキオ教会
- ○10:30 スオメンリンナ島へ移動
- ○11:15 スオメンリンナ観光開始
- ○14:00 ヘルシンキ市街へ
- ○14:20 お昼ごはんを食べよう
- ○14:50 帰国への帰路
- ○17:30 飛行機出発
- ○おわりに
○8:00 大満足の朝ごはん
旅行最終日の朝。そうなるととても名残惜しいものです。ヘルシンキでの時間を少しでも長く確保できるように、いつもより早起きをしました。さっそく朝ごはんを食べに行きます。
今日も美味しい!クロワッサンもサクサク、バターの香りもしっかり。ホテルのパンと言う感じです!
○9:45 静寂の教会カンピ礼拝堂
身支度を済ませて時間は9時過ぎ。荷物をフロントに預けさせてもらい、観光に向かいます。歩いていると寿司屋さん発見。「LUCKIEFUN'S」というお店(公式ページ)。フィンランドにある日本食のチェーン店のようです。結構いろんなところにありました。
しばらく歩くと到着しました。カンピ礼拝堂(Kampin kappeli)です。
・どんなところ
この礼拝堂。一番の特徴はなんと言ってもこの外観です。
コンクリートの広場にこんな建物がドン!と建っています。とても礼拝堂であるとは思えません。モミの木を幾重にも重ねた箱舟のような丸い形をしています。
礼拝堂のロビーには教会の職員や市の健康・社会福祉部の職員がいらっしゃいます。いつでも誰でも相談に乗ってくれるそうです。予約の必要もなく、名乗る必要もないそうです。
礼拝室の写真撮影や会話はNGです。料金は無料です。
(カンピ礼拝堂の情報)
・移動ルート
私の泊まったホテルインディゴヘルシンキからは歩いて約15分です。ヘルシンキ中央(Helsingin päärautatieasema)駅からだと5分ほどで着くようです。
(移動ルート)
・中に入ってみよう!
ロビーを通り抜け、礼拝室に入ります。
(公式サイトより)
入ってみると音はひとつもしません。静かに祈りを捧げる場所のようです。天井に石こうボードを含んでいるおかげで防音効果があるそうです。
カンピ礼拝堂は、高さ11.5m。内壁は加工したハンノキから、礼拝室の建具と内扉はセイヨウトネリコから作られています。
気持ちがスーッとするような、逆に緊張が増してくるようなそんな空間でした。次の場所に向かいます。
○10:00 岩の教会、テンペリアウキオ教会
カンピ礼拝堂から少し歩いて到着したのはテンペリアウキオ教会(emppeliaukion kirkko)です。
・どんなところ
テンペリアウキオ教会は、大岩をくりぬいた中に造られている教会です。その特徴的な造りから、「岩の教会」とも呼ばれています。
簡単に歴史を紹介すると、教会を造る計画は1930年代から存在していたそうです。その時には現在のデザインとは違うものが計画されていました。しかし、第二次世界大戦が勃発し、計画は中断。終戦後の1961年に改めてデザイン・コンペが開かれた後に1968年に建設されましたが、そのデザインコンペで採用されたのが、この岩の中に教会を作るという案だったようです。
予算の都合上、当初のプランの4分の1の大きさに縮小されてしまったそうです。これでも十分大きいので、プラン通り作られていたらとんでもないことに成っていたと思います。
料金は4€で、ヘルシンキカードがあると無料です。土日は休みです。
(教会の情報)
・移動ルート
カンピ礼拝堂からテンペリアウキオ教会までは歩いて約15分です。
(移動ルート)
・いざ観光
入り口までやってきました。石垣のように積み上げられた岩の下に教会への入り口があります。この岩々を見ると、少し離れたところから見てもここがテンペリアウキオ教会だとひと目で分かりますね!
さっそく中に入ります。とてもきれいなドーム空間です。
上部がガラス窓になっているので、とても明るい自然光が入り込んできます。壁は岩の教会というだけあって岩だらけです!くりぬいた岩盤がそのまま使われているそうです。氷河時代に削られてできた模様を見ることができるそうですよ!
立派なパイプオルガンがありますよね。教会内には、とってもきれいな音色が響き渡っているんです。これは実は壁の岩たちのおかげなんです。岩の壁には優れた音響効果があるそうです。計画では、岩をむき出しで残すつもりではなかったそうなのですが、音響学者さんがこのままの方が良い!と助言をした結果、このままの状態にすることになったそうです。
しばらく教会内を見学した後、面白いことが発覚。なんと岩山に登って良いそうです!教会の裏に回ってみると、ちゃんとしたルートがありました。
天井のドーム部分の近くまで行くことができ、面白い体験でした。
さて時間は11時になりそうです。そろそろ次の場所へ向かいます。
○10:30 スオメンリンナ島へ移動
次に向かうのは世界遺産の要塞島スオメンリンナ(Suomenlinna)です。マーケットのある港から、フェリーに乗って向かいます。
・どんなところ?
スオメンリンナ(Suomenlinna)は、6つの島の上に建造された星型の要塞です。ユネスコの世界遺産に登録されています。スオメンリンナは、「スオミの城塞」という意味だそうです。
(公式サイトより)
建造されたのは1748年。ロシア帝国に対する防衛を目的として当時占領していたスウェーデンが建造しました。
しかし、フィンランド戦争中の1808年には、要塞はロシア軍に占領され、また、翌年にはフィンランドの土地もロシア領下になってしまいます。そこから約110年間、スオメンリンナはロシアの海軍基地となっていました。
フィンランド戦争中も、ロシア領下のときにも、ほとんど要塞は損害を受けることがなかったのですが、1855年のクリミア戦争の際には、イギリス海軍とフランス海軍による艦隊の艦砲射撃で大きな損害を被ってしまったそうです。
1991年には世界遺産に登録されました。今でも800人の人たちが住んでいます。
・移動ルート
マーケットすぐ近くの港からフェリーが出ています。公式サイトに時刻表も載っていたのでここにも載せておきます(こちら)。
料金は片道2.8€(HSLのシングルチケットAB)です。シングルチケットは80分間の有効期限があるので、復路では新しくシングルチケットを買う必要があると思います。往復5.8€かかると思っておいたほうがいいですね。ヘルシンキカードがあれば無料です。
2019年まで12時間有効のスオメンリンナフェリー往復チケット(5€)がありましたが、どうやらもうなくなっているようです。公式パンフレットから消えていました。
また、夏限定で水上バスもあるそうです。フェリーより島の奥の方に停まってくれます。水上バスはフェリーとは別の会社が運営しているので、ヘルシンキカードは使えません。料金は往復10€程のようです。(下の図で、停泊地をご確認ください。)
・いざ移動
10:45、テンペリアウキオ教会から歩いて港に向かいます。せっかくなので、この日もをヘルシンキ大聖堂(Helsingin tuomiokirkko)の前を通りました。
今日もいい天気です。観光バスがたくさん停まっています。赤い観光バスにはヘルシンキカードを使えば無料で乗れます。
港のフェリー乗り場に着きました。
赤い屋根の下にチケットの自動販売機があります。今回私はヘルシンキカードがあったので購入する必要はありませんでした。
11:00頃出航し、11:15スオメンリンナに到着。たくさんの人がフェリーに乗っていました。
○11:15 スオメンリンナ観光開始
さっそくスオメンリンナ島を観光していきます。日本語版パンフレットが公式サイトにあったので載せておきます(こちら)。
島内にはたくさんの見所がありますが、パンフレットに載っているブルールートに沿って進めば間違いないようです。ということでブルールートに沿って進んでいきます。
・11:28 スオメンリンナ協会
まず歩いているとスオメンリンナ教会(Suomenlinnan kirkko)が見えてきました。
スオメンリンナ教会は1854年に建設されたそうです。ヘルシンキで人気のあるウェディング会場ひとつだそうです。白を基調としたきれいな内装ですよね!
私が行った時には意識して見ることはできませんでしたが、教会の塔には航空・海上交通用の灯台があるそうです。今でも動いているそうですよ!
入場は無料です。
・11:45 軍事博物館マネーシ
教会を出て歩いていると、案内板を発見。どうやら戦争に関する博物館があるとのこと。ブルールートから少しだけ離れて軍事博物館マネーシ(Sotamuseon Maneesi)に向かってみます。
軍事博物館マネーシには、戦争時代のフィンランド国防軍とその兵士たちの歴史が展示されています。戦車や大砲、軍服などが展示されていました。細かな説明は読まなくても、見るだけで当時の雰囲気を想像できました。
料金は7€。潜水艦ヴェシッコとの共通チケットになっています。ヘルシンキカードがあれば無料です。
・12:00 スオメンリンナ博物館
ブルールートに戻ってどんどん進んでいきます。次に到着したのはスオメンリンナ博物館(Suomenlinna-museo)です。島の歴史のことを知りたかったので入りました。
この博物館では、要塞の建設や歴史、スオメンリンナでの生活が紹介されています。また、要塞の歴史に関する短編映画が30分おきに上映されていて、これが良かったです。しかも日本語にも対応してくれていました。
映画の上映時間は25分で、館内にあるイヤホンを使うことで、フィンランド語、スウェーデン語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、日本語、スペイン語、中国語の9ヶ国語に翻訳して映画を見ることができます。
料金は8€。ヘルシンキカードがあれば無料です。
12:45頃、博物館を出て、次の場所に向かいます。丁度近くに水上バスが通っていました。
・12:55 潜水艦ヴェシッコ
次はブルールートから少し外れ、海沿いの道を進んでいきます。たどり着いたのは潜水艦ヴェシッコ(Vesikko)です。
ヴェシッコは、第二次世界大戦で使用されたフィンランドの潜水艦です。復元された艦内では、乗組員たちの労働環境を体験したり、当時の潜水艦技術を知ることができます。
料金は7€。軍事博物館マネーシとの共通チケットになっています。ヘルシンキカードがあれば無料です。
夏季のみの営業とのことなので、営業しているかどうかは公式サイトのカレンダーで確認しておいたほうが良さそうです。
潜水艦の中はとてもせまいため、一度に入場できる人数に上限があるようです。そのため、ある程度の人数が艦内に入ると、入場制限がありました。
少し待って入場しました。とても狭い潜水艦内ですが、様々な機械や物があって見どころがたくさんありました。
・13:20 クスターンミエッカ
ブルールートに戻りさらに進んでいきます。ここからは施設ではなく、建築物や景色を楽しんでいきます。というのも島の南の方まで来ると施設はほとんどありません。ゴツゴツした岩や草木が生い茂った空間が広がってきます。
進んでいくと大砲が見えてきたので近くまで行きます。
この辺りはクスターンミエッカ(Kustaanmiekka)と呼ばれていて、戦時中の要塞や海上防衛線を見ることができます。この大砲も海上防衛のための一つのようです。
要塞には国旗が掲げられています。独立を果たしたときに掲げられたもののようです。
よく見ると普段見るフィンランドの国旗と少し違いますよね。青色の十字の中に、赤色が混ざっています。
真ん中にあるのはフィンランドの国章で、このデザインの国旗は政府が用いる公用の国旗だそうです。
・13:30 キングズゲート
大砲を見ながら沿岸沿いを歩いていき、要塞の中を進んできます。13:30、スオメンリンナ島観光のゴール?キングスゲート(Kuninkaanportti)に到着します。
(公式パンフレットより)
キングスゲートは、要塞の式典用として建設されたものだそうです。なぜキングスゲートと呼ばれているかというと、要塞の建設中に、視察のために訪れた当時のスウェーデン国王が船を停泊させた場所だからだそうです。
ゲートをくぐると、向こう側には海が見えます。丁度1日目に乗った運河クルーズの船も見えますね!
・13:50 乾ドック
ブルールートのゴールまで来たので、まだ見てないところを見ながらスタート地点まで戻ります。せっかくなのでブルールートを外れた道を通りながら戻りました。すると民家のような建物も見つけることができました(写真はありません)。
時間のある方はブルールートをそれた道に行くと、また違った景色が見れるのでおすすめです。
そんなこんなで10分ほど歩き、時間は13:50。乾ドック(Telakka)がある所まで戻ってきました。
ドックとは、船の点検や修理をするための場所のことです。点検や修理をするためにはドックまで船を運ばなければなりません。そのために水門を造り、水を溜めたり排水したりすることで船を移動させ、点検や修理を行う場所を乾ドックというそうです。
スオメンリンナにある乾ドックは、現在でも稼働している世界最古の乾ドックの一つだそうです。
○14:00 ヘルシンキ市街へ
乾ドックを見学したら、いよいよヘルシンキ市街へ戻ります。14:00、行きに乗ったフェリーに乗りました。
11:15にスオメンリンナ島に来たので、滞在時間は3時間弱でした。いたるところに当時の雰囲気を醸し出す建築物があるので、かなり満喫することができました。
お昼ごはんを食べたり、施設をゆっくりと見学する場合もう少し多めに時間をとっておく方が良いと思います。
○14:20 お昼ごはんを食べよう
14:15頃、ヘルシンキ市街に戻ってきました。いよいよ10日間の北欧旅行も終わります。帰りは17:20発の飛行機に乗るので。逆算して残りのヘルシンキでの滞在時間を考えます。
16:00にはヴァンター国際空港(Helsinki-Vantaan lentoasema)に着いていたい。空港まではフィンエアーのエアポートバスに乗る予定です(現在はなくなりました)。所要時間は約30分とのこと。
ホテルに預けている荷物を取りに行く時間もあるので、ゆっくり過ごせるのは後30分程かな。
ということで、初日に行かなかったオールドマーケットの中でササッと昼ごはんを食べることに。オールドマーケットの中でもソッパケイッティオ(SOPPAKEITTIO)というスープ屋さんがずっと気になっていたんです(現在は「SOUP+MORE」というお店に変わっているようです[公式サイト])。地球の歩き方を読んでいるときから行きたいな~と思っていました。ということで早速向かいました。
14:20、お昼どきを過ぎていたのですぐに入れましたが、お客さんは結構いました。
注文したのはこちら。
ソーセージスープ(9.5€)とシーフードスープ(10€)です。
スープの味は、もちろん最高です。上品な味がしました。ソーセージスープには見ての通り野菜が沢山入っていました。シーフードスープにはサーモンはもちろん、エビや貝など、様々な魚介類が入っていました。どっちも美味しい!
スープだからサラッと食べられるかと思いきや、意外と量があったのでお腹は結構満たされました。
ちなみに先程の写真の奥の方に布をかぶったカゴがありますが、あの中にはパンが入っています。入店したときにオリーブオイルをもらったので、それにつけて食べました。どうやら無料のようです。
○14:50 帰国への帰路
スープを食べ終わったので後は帰国するのみ!14:50頃お店を出て、予定通り荷物を取りに行きました。
15:00、ホテルで荷物を受け取り、エアポートバスが出ているヘルシンキ中央駅へ歩いて向かいます。
無事ヘルシンキ中央駅に到着。エアポートバスに乗ってヴァンター国際空港に向かいます。
ここまで予定通り。これで後は空港でチェックインを済ませ、飛行機に乗るだけ・・・と思いきや、高速道路に入ってからなかなかバスが動きません・・・。かなり渋滞しているようです。
到着の目安の16:00になってもまだ高速道路の中です。だんだん気持ちが焦ってきます。しかしどうすることもできません。他の乗客の中にも、どこかに電話をしているビジネスマンがいたり、予約票を何度も確認してイライラしている方がいたり、なかなかに不穏な雰囲気が漂います。
16:05、渋滞の原因が判明。
消防車の前に車が2台止まっていました。どうやら事故があったようです。
というわけでここを抜けてからはスムーズに進み、16:30頃空港に到着しました。飛行機の出発は17:20です。もう1時間もありません。慌ててチェックインをします。
機械でチェックインをしようとしてもできません。さらに気持ちが焦ってきます。どうやら時間が遅かったので直接カウンターでチェックインするしかないとのこと。
ということでカウンターでチェックインします。するとなんだか普段のチェックインなら言われなさそうなことを英語で言われます。こちらはかなり焦ってしまっているので、何を言っているのか聞き取れません。
何度か説明を繰り返してもらってようやく理解しました。どうやらチェックインが遅かったから、飛行機には急げば乗れるけど、荷物は次の便で届けることになりそうとのこと。次の便は翌日になるので、無事帰国できても荷物を受け取るために関空付近で1泊する必要が出てきます。なんてっこった~とは思いつつ、もうどうしようもないので、荷物を預け、急いで搭乗口に向かいました。
急いで向かったおかげで、無事飛行機に乗り込むことができました。
○17:30 飛行機出発
なんとか飛行機に乗ることができ、定刻の10分後、17:30に飛行機は出発しました。無事飛行機に乗ることができて一安心。荷物については国内でのことになるのでなんとでもなるだろうと冷静になれました。
というわけでフィンエアー(FINNAIR)の機内を満喫しました。映画を見たり、機内食を楽しんだりして無事帰国。約11時間のフライトでしたが、あっという間でした。
ありがとう北欧!
そしてなんとなんと荷物も一緒の飛行機に乗れていたみたいで、無事荷物も受け取ることができました。いや~よかったよかった。
○おわりに
というわけで全18回に渡ってお届けした2019年夏の北欧旅行でした。いかがでしたか。第1回が8月12日に投稿されているので、ここまで4ヶ月かかってしまいました。思ったより長くなってしまいましたが、無事書き終えることができて一安心です。
4ヶ月も経ち、コロナも少しずつ落ち着いてきましたね。もう少ししたら海外旅行にも行こうかなと思う方々も増えてくると思います。そういった方々が旅行計画を建てる際の参考に少しでもなれば嬉しいです。
また、以前北欧に行ったことのある方が、その素敵な思い出を振り返るきっかけになっていればそれまた嬉しいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。